グアナファト州について
グアナファト州について
グアナファト州は、地図で見るとメキシコのちょうど中心に位置しています。そのため、観光にもビジネスにも適した州です。魅力的な観光スポットが数多くありますので、本サイトでご紹介していきます。また宿泊施設や食事処も充実しているので、予算に合った旅行を計画できるでしょう。
まず、グアナファト州には46の市町村があります。最も有名なのは世界遺産になっているグアナファトとサンミゲル・デ・アジェンデ(San Miguel de Allende)です。グアナファト州に観光に来られたら必見です。
レオン(León)やイラプアト(Irapuato)、セラヤ(Celaya)、シラオ(Silao)、サラマンカ(Salamanca)は工業都市で、多くの車関係の企業や商社が進出しています。
これらの大きな市には、国際的にチェーン展開しているホテルから、個人経営の小さなブティックホテルまであります。食事についても同様で、チェーン展開しているレストランや賞を獲得したシェフによる高級レストランから、市場の屋台やタコス屋、またフォンダス(Fondas)と呼ばれる完全手作りで典型的なメキシコの家庭料理を提供するお店まで揃っています。
もちろん、小さな町も魅力的です。メキシコには観光局によってプエブロ・マヒコ(魔法のように魅惑的な町)という称号を与えられた町が各州に存在しますが、グアナファト州では6つの町が指定されています。本サイトではその6つの町をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
その他、ペンハモ(Pénjamo)にはテキーラ蒸留所のコラレッホ(Corralejo)があり、見学やテキーラの購入が可能です。モロレオン(Moroleón)とウリアンガト(Uriangato)は、洋服などの織物製品で有名な町です。 さらに、いくつかの町の近くには遺跡群もあります。例えば、ペンハモのプラスエラス(Plazuelas)やアバソロ(Abasolo)のペラルタ(Peralta)、サンミゲル・デ・アジェンデのカニャーダ・デラ・ビルヘン(Cañada de la Virgen)、オカンポ(Ocampo)のエル・コポロ(El Cóporo)、ビクトリア(Victoria)のアロジョ・セコ(Arroyo Seco)です。
このようにグアナファト州には観光スポットが盛りだくさんです。
交通網についても道路のインフラは充実しています。州内のほぼすべての市町村は幹線道路で繋がっていて、大きな市から各小さな観光地にも行きやすくなっています。無料の幹線道路が多いですが、一部は料金所が設置された有料道路になっています。またいくつかの町の近くには、ガソリンスタンドやトイレ、食事などのサービスを提供する観光パラドール(Parador)と呼ばれる施設が設置されています。
最後に、グアナファト州のもう1つの魅力は、1年を通して各種イベントや大きなフェスティバルが開催されていることです。特に有名なのは「セルバンティーノ国際フェスティバル(Festival Internacional Cervantino)」と「気球フェスティバル(Festival Internacional del Globo)」、「短編映画フェスティバル(Festival Internacional de Cortometrajes)」です。
それ以外にももう少し規模が小さいイベントやお祭り、市などが各地で行われています。まず、フェリア(Feria)と呼ばれるお祭りイベントが各々の町で1年に1回開かれます。そして、伝統料理やローカルフードなどの食に関するイベントも見かけられます。
また、グアナファト州はワインの生産にも力を入れているので、ブドウの収穫時期には各ワイナリーで収穫祭というイベントを開催しています。
さらに、スタジアムではサッカーの試合が行われ、劇場やいくつかのワイナリーではオペラやクラシックミュージック、ポップミュージック、バレエのコンサート、演劇なども上演されています。
このように、グアナファト州にはぜひ行ってみたくなるような観光スポットや催しがたくさん散りばめられています!
グアナファト
様々な歴史や文化が今も町の至る所で感じられます。
スペイン植民地時代には銀の鉱山の採掘で栄えました。そのため鉱山跡の地下道を潜り抜けて旧市街(セントロ)に入っていきます。この地下道がとても美しく、タイムスリップしたような気分になります。今でも町の至る所で銀製品が売られています。
色とりどりの小道を散歩して、銀製品やメキシコらしい刺繍が施された衣類や陶器を物色してみるのもいいですし、カフェやレストランでひと休みしておいしい食事と雰囲気を楽しむのもいいと思います。
また、グアナファト州の州都であるグアナファト市には美しい政府の建物や、大学、博物館・美術館、劇場、また市場など、見所がたくさんあります。
ここからは、グアナファト市の主な観光スポットをご紹介します。
1. ピピラの丘
この丘にはピピラ(本名:Juan José de los Reyes Martínez Amaro)というメキシコ独立戦争の英雄の巨大像が立っています。彼は坑夫ですが、独立軍を率いるミゲル・イダルゴ神父の依頼で、1810年9月28日に背中に大きな平石を背負い、手には鉱山で使用する松明をもって、政府軍が立て込む穀物倉庫(Alhóndiga de Granaditas 現・州立博物館)に向かい、その扉を燃やし落としました。
ピピラの丘に行くには、フアレス劇場(Teatro Juárez)の裏からケーブルカーが出ています。セントロから歩いて登ることもできますが、標高が高く疲れやすいため、休みながら登るようにしてください。また安全性を考えると、大勢で歩くか、ケーブルカーのご使用をお勧めします。
2. 州立博物館( 旧・穀物倉庫)
博物館として開園する際には、国立人類学歴史研究所の支援を得ました。そのため9,000以上の歴史的な出土品や作品が展示されています。
この博物館に入って、まず目に飛び込んでくるのはグアナファトの歴史を題材にしたモラド(José Chávez Morado)の3つの大きな壁画です。
1つ目はミゲル・イダルゴ神父が大きく描かれた独立戦争や奴隷の悲しみや辛さを表した壁画、2つ目はグアナファトを象徴する人々が描かれた壁画、また3つ目はミゲル・イダルゴ神父の頭だけがあり、その周りにグアナファトの先住民時代から現代までが描かれた壁画です。
各展示室では、古代遺跡からの出土品や、スペインに征服されてからの衣装や食器、宗教画、鎧や武器などが展示されています。
<開館時間>
火~土曜日:10~18時 日曜日:10~15時
<料金>
一般:$65ペソ
3. フアレス劇場
この劇場の設計には様々な様式が取り入れられています。構造自体はヨーロッパの劇場がモデルになっているので、観客席は馬の蹄鉄状に広がっていて、バルコニー(ボックス席)も4か所設置されています。内部の装飾には金が多く使用され、東洋の細かなデザインが舞台上から天井にかけて施されています。また劇場の建物の入口にある柱はドリス風で、入口の屋根には8人のミューズのブロンズ像があります。それぞれのミューズが戯曲、踊り、音楽、演劇、喜劇などを表しています。
週末などにはクラシック、オペラ、演劇などが上映されています。特にセルバンティーノ国際フェスティバル(Festival Internacional Cervantino)の時期はメイン会場になり、毎日有名なパフォーマンスが開催されます。
劇場だけでなく、前の広場も美しいです。広場の周りにはレストランがいくつもあるので、地元の人や観光客もこのエリアで散歩などをして楽しんでいます。
<見学時間>
月~土曜日:10~20時 日曜日・祝日:10~18時
※お昼の休憩時間はクローズします。
※夜の公演がある日は、短い見学時間になります。
4. バシリカ
教会内の中央の祭壇には、714年にスペインで制作された「ヌエストラ・セニョーラ・デ・グアナファト(Nuestra Señora de Guanajuato)」という聖母の彫像があります。その当時のスペインはアラブ人に征服されていたため、保護する目的で洞窟に隠されていました。8世紀もの間人々に知られることなく洞窟に置かれていたのです。16世紀になりこの聖母像が発見されると、フェリペ2世はスペインに富をもたらしてくれるグアナファトに感謝を込めて、聖母像を送りました。
この聖母像は1本の杉の木から作られています。当初右手にはバラを持っていましたが、メキシコについてから王家で使用するような杖に変更され、さらに冠が追加されました。
バシリカの濃い黄色の外装と2つの塔は遠くからでもよく目立ち、撮影スポットになっています。
反対に内装は全体的に薄い色で配色されていて、シャンデリアや細かな模様に気品があり美しいです。教会の静寂な雰囲気の中でゆっくり鑑賞してください。
5. イダルゴ市場
ファザード(正面玄関)のアーチ付近とバルコニー状の2階ではバックや財布、靴、ベルトなどの革製品や色鮮やかな刺繍入りの服やテーブルクロス、素焼きの食器類など様々な民芸品が売られています。
この市場は1910年9月16日に、メキシコ独立戦争の開始後100年を記念してオープンしました。メキシコ独立の父と言われるミゲル・イダルゴ神父から名前をとったため、イダルゴ市場といいます。
そんなイダルゴ市場ですが、当初は鉄道駅になる予定でした。そのためファザードや時計塔、アーチ型の天井などがあり、通常の市場の設計とは異なっています。ピンクの切り石と鉄筋で建造されていて、大きく開いたファザードと、天井にいくつもある大窓からは自然光が入ってくる構造になっています。
設計と建築を対応したのはエルネスト・ブルネル(Ernesto Brunel)とポンシアーノ・アギラール(Ponciano Aguilar)です。時計塔については、パリのエッフェル塔を手掛けたギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)が対応しました。アーチ型の屋根の上にあり、避雷針の役割も担っています。
ぜひ、イダルゴ市場で手工芸品や地元の食べ物、また建物の歴史やデザインも全て楽しんでください。
6. ドン・キホーテ肖像博物館
1987年の博物館のオープニングセレモニーにはその当時のスペインとメキシコの大統領も参加しました。
世界中で読まれているドン・キホーテだからこそ世界中のアーティストの作品が存在します。テイストの異なる各アーティストの作品を、博物館の雰囲気に癒されながら楽しんでください。
<開館時間>
火~土曜日:9~19時 日曜日・祝日:12~17時
<料金>
一般:$30ペソ 学生・教師:$10ペソ(身分証提示のこと)
※火曜日は入場無料です。
7. ディエゴ・リベラ博物館
1階にはディエゴ・リベラの両親の寝室や叔母の寝室、ダイニング、書斎などが19世紀後半~20世紀初め当時の装飾や家具調度品によって展示されていて、1886年に生まれたたディエゴ・リベラの幼少期の環境が垣間見られます。
2階からは作品が展示されていて、部屋毎にテーマがあります。
自画像やフリーダ・カーロの肖像画が展示されている部屋
パリクティン(Paricutín)というメキシコのミチョアカン州にある火山が1943年に噴火した時の近郊の町や畑の状況を収めた水彩画や水墨画が展示されている部屋
メキシコシティの劇場の正面に描かれた壁画のスケッチが展示されている部屋
各種テーマや異なった時代を題材にし、鉛筆や墨で描かれたスケッチが展示されている部屋
メキシコシティのディエゴ・リベラ壁画博物館(Museo Mural Diego Rivera)にある有名な壁画「アラメダ公園の日曜の午後の夢(Mural Sueño de una tarde dominical en la Alameda)」を写真で実際の壁画のように展示している部屋
(この壁画にはメキシコの歴史上の人物や、政治家、有名人がたくさん描かれています。中央には死者の日の象徴であるカトリーナというガイコツの貴婦人がいます。)
(またこの部屋にはディエゴ・リベラやフリーダ・カーロの写真も展示されています)
他の画家によるリトグラフ
期間限定の展示室などです。
メキシコ人のアイデンティティを訴える壁画運動の中心人物であった巨匠ディエゴ・リベラの各種作品をゆっくり堪能してください。
<開館時間>
火~土曜日:10~19時 日曜日:10~15時
<料金>
一般:$30ペソ 子供・メキシコ人学生:$10ペソ(身分証提示のこと)
8. 口づけの小道
伝説は16世紀~17世紀に遡ります。カルメンという若い女性とルイスという若い男性の物語です。2人は恋人どうしですが、カルメンは貴族の娘でルイスは鉱夫で社会階級が違うため、この恋愛は反対されていました。
カルメンはブリヒダという家政婦にサポートしてもらいながら毎日バルコニー越しに恋人のルイスと会っていました。家政婦のブリヒダはカルメンの父親が部屋に入ってこられないように、毎日カルメンの部屋のドアを閉めてあげていました。しかしある夜、カルメンの父親は娘の部屋からの物音を聞いて、力尽くで部屋に入りました。
そしてカルメンとルイスがバルコニーで密会しているのを目撃した父親は激怒し、短剣で自分の娘の胸を突き刺し、殺してしまいました。その時カルメンとルイスは手を握り合ったままでした。悲しみに打ちひしがれながらルイスは恋人のカルメンの手にキスをしました。その後、悲しみの辛さに耐えきれずルイスは自殺しました。
言い伝えによると、恋人たちがこの小道にある階段の3段目でキスをすると、7年間幸せでいられるそうです。もしキスしなかった場合は、反対に7年間不運が続いてしまうそうです。
現在は観光地としてとても賑わっていて、多くの恋人たちがキスをしながら写真を撮っています。
カルメンの家といわれている建物は今ではお土産屋さんになっているので、中に入ることができます。更に2階のバルコニーにも行くことが可能です。伝説に想いをはせて、見学してみてください。
9. 立法府
この地域の薄い緑とピンクと紫の石が使用されたネオクラシック建築です。入り口から中に入ると開けた空間になっていて、パティオのように天井から入る自然光で明るくなっています。壁にも薄ピンクや緑を基調としていくつものデザインが描かれています。大きな柱や各階のバルコニーの小さな柱の形まで、建物全体が美しく、静かな雰囲気と調和しています。一部のインテリアはアールヌーボーの影響を受けています。
立法府ですが、博物館のように見学が可能です。絵画が展示されている部屋や、下院議会の部屋を見学できます。下院議会室のテーブルや椅子、じゅうたんなどは中世の雰囲気で、4つのカットガラスのシャンデリアと天井の隅に設置された500個のオレンジランプが照明になっています。
<開館時間>
火~日曜日:10~19時
10. グアナファト大学
歴史:
グアナファト大学はメキシコで最も古い大学の1つです。1732年に創設された当初は児童向けの養護施設でした。1785年からは単科大学に変わり、1945年にグアナファト大学という名になり、1994年に州立大学になりました。
1950年から1955年にかけてメインの校舎と石段とファザード(正面玄関)が建造されました。グアナファト市の伝統的な街並みに合わないと議論されたこともありますが、今では人気観光スポットの1つとなっています。
紋章:
グアナファト大学の紋章はファザードの上部に見受けられます。蛙(グアナファトの町のシンボル)と蜂、蜂の巣、そして伝統的な養蜂箱が描かれています。蜂と関係するシンボルが3つも描かれていますが、これは働き者でかつコミュニティを形成し維持する蜂の性質に希望を見出しているためです。グアナファト大学を訪れた際には確認してみてください。
美術館:
ファザードの隣にはエルメネヒルド・ブストス・ギャラリー(Galería Hermenegildo Bustos)があります。大学で美術を先行する学生の作品から国内外のアーティストの作品まで幅広く展示されています。グアナファト市で最も古いギャラリーの1つで、大学の入り口ともつながっています。
セルバンティーノ国際フェスティバル(Festival Internacional Cervantino):
毎年10月にグアナファト市全体で催されるこの大規模な芸術祭では、次にあげるグアナファト大学のいくつものスペースがギャラリーやイベント会場として使用されます。大学の中を見学できる良い機会です。
・ ポリバレンテ会場(Sala Polivalente)
・ エルメネヒルド・ブストス会場(Sala Hermenegildo Bustos)
・ 産業学部の中庭
・ 工学部・鉱物学部・芸術学部の各講堂
・ エウケリオ・ゲレロ・ホール(Auditorio Euquerio Guerrero)
・ 一般ホール(Auditorio General de la Universidad de Guanajuato)
・ ファザードの前の石段
エストゥディアンティーナ(Estudiantina):
フアレス劇場の近くを歩いていると、中世の学生服に身をまとったグアナファト大学の学生が何人もいて、声をかけられることがあります。彼らはエストゥディアンティーナという学生楽団で、夜9時頃からギターやマンドリン、コントラバス、アコーディオン、カスタネット、タンバリンなどの楽器を持って旧市街のいくつもの小道を周遊して、各ロケーションでグアナファトやその場に関する歴史や伝説を紹介し、愛の歌(セレナータ)を歌って演奏します。
興味があれば、声をかけられた時に予約してチケットを購入してみてください。1~2時間小道を歩き回ることになるので、歩きやすい靴で参加することをお勧めします。グループによってはポロン(Porrón)というテキーラや赤ワイン、メスカルなどを入れて飲む陶器を記念にもらえることもあります。
エストゥディアンティーナは、1953年に最初のパフォーマンスが行われました。1人の音楽教授と30人以上の学生たちで構成され、約1年間歌の練習をしました。音楽教授は周辺の村にも赴いて各地に伝わる伝統や歴史、歌を直接聞き、歌詞に盛り込みました。またある学生は、エストゥディアンティーナ用のセレナータを何曲か作曲しました。
普段とは違った角度からグアナファトを楽しんでください。
11. バラティージョ広場
広場の真ん中には緑色の切り石で造られた噴水があります。噴水の中心の柱の上には大きな貝殻がデザインされていて、そこから水が流れてきます。また柱の下にはイルカの像が四方に設置されています。広場の周りを取り囲んだ建物の壁も赤やオレンジ、黄色、青と鮮やかで、その色と噴水が調和して美しい広場になっています。
小さな路地を歩いていくと出会える小さくて美しい広場ですので、まさにグアナファトの町の伝統的な光景と言えます。
また、夜のライトアップも素敵なので、エストゥディアンティーナ*のルートにもなっています。
*グアナファト大学のページの説明をご参考ください。
12. ハルディン・デラ・ウニオン
元々はサン・ディエゴ教会の庭園でしたが、レフォルマ戦争が終わった1861年に自由主義の勝利から「ハルディン・デラ・ウニオン(連合広場)」と名付けら、今のような広場になりました。19世紀の終わりにキオスコ(広場の真ん中にある丸い見晴台)が造られ、マリアッチのような音楽バンドがパフォーマンスをするようになりました。
またその当時は、馬で引く路面電車のようなものがあり、この広場はその出発場所になっていました。行先は、なめし皮工場やプレサ・デラ・オジャ(近隣のダム)などでした。
この広場は常に多くの人々で賑わっていますが、特にセマナサンタ*の最初の金曜日「ビエルネス・デ・ドローレス(Viernes de Dolores痛みの金曜日)」をグアナファトでは「ディア・デラス・フロレス(Día de las flores花の日)」と呼び、この広場をメインに催しが行われます。
なぜ花の日と呼ばれるかというと、グアナファトの旧市街全体が生花や造花で溢れるからです。
この日は、色鮮やかな衣装を着た踊り子たちがこの広場でダンスを披露し、音楽の生演奏があり、さらに伝統的な料理が振る舞われます。
*セマナサンタ(Semana Santa):イエスキリストが十字に架けられ亡くなり、復活するまでの1週間で、カトリックにとって大切な期間です。その年によって3月から4月のいずれかの週になります。
13. ハルディン・レフォルマ広場
ハルディン・レフォルマ広場は静かな落ち着いた場所ですので、写真を撮ったり、お友達とおしゃべりしたり、あるいは少し休憩するために訪れるのにも適しています。
夏にはフェリア・デル・リブロ(Feria del libro)という大規模な古本まつりが開催されます。また、一年を通して何回かエル・カジェホン・デル・リブロ(El callejón del libro)という名の古本市も実施されます。
14. サン・ロケ広場
小さな広場ですが、1972年から始まった有名なセルバンティーノ国際フェスティバル(Festival Internacional Cervantino)の原点として知られる場所です。
その原点とは、1953年からこの広場で毎年開催されている「エントゥレメセス・セルバンティーノス(Entremeses cervantinos)」という夜に行われる野外劇です。グアナファト大学の劇団が初めました。ドン・キホーテの作者セルバンテスが残した喜劇や短編劇を上演します。観客用の仮設席が設置されて間近で劇を鑑賞できます。
15. サン・フェルナンド広場
この広場には本当に様々なレストランやカフェがあります。店内に大きなゴッホの絵がいくつも飾られているレストランや、2階にバルコニー席が準備されているレストランもあります。食事もお肉料理やパスタ、クレープ、ピザなど多様です。
ぜひ、木々の緑と鮮やかな建物の壁とパラソルというグアナファトらしい光景の中で、ゆっくりと時間を過ごしてください。
サンミゲル・デ・アジェンデ
メキシカン・バロック様式が多く残されているサンミゲルの美しい町並みは、アトトニルコの教会(Santuario de Jesús Nazareno de Atotonilco)と共に2008年に世界文化遺産に指定されました。
またメキシコ独立戦争の重要な地であったことも、世界遺産に指定されたもう1つの要因です。1542年にフランシスコ会の修道士サンミゲルによって建設された当時の町の名はサンミゲル・デ・エルグランデでしたが、メキシコ独立戦争の英雄イグナシオ・アジェンデが生まれた町ということで、後に今の名前に改名されています。
今のサンミゲルの特徴を表す別の要素はアートと国際性です。1950年に設立したアジェンデ美術学校にはアメリカ人をはじめとして多くの外国人が留学にきています。そのため、街中にはギャラリーも多いですし、英語で会話できるお店も多くあります。さらに気候の穏やかさと近くに温泉などがある魅力的な土地柄が海外の人にも愛されています。
なんと2017年には、サービスの質や人々の優しさ、美味しい料理、町の清潔さ、文化的価値、建造美、ショッピング性などから「Travel + Leisure誌」において旅行者が選ぶ町・世界No.1に選ばれました。
そんなサンミゲルの観光スポットをこれからご紹介します。
1. サンミゲル・アルカンヘル教会
2. メインガーデン広場
3. サンミゲル・デ・アジェンデ歴史博物館
この博物館の展示内容は大きく3つに分かれています。1つ目はこの地域の先住民の文化について、2つ目はサンミゲル・デ・エルグランデの町がつくられた16世紀からヌエバ・エスパーニャ時代の18世紀そして独立戦争まで、3つ目がイグナシオ・アジェンデについてです。
イグナシオ・アジェンデはクリオーリョとしてヌエバ・エスパーニャ時代にこの町に生まれ、ミゲル・イダルゴ神父率いる反乱軍の主要な軍の隊長の一人として、独立革命の初期に活躍しました。
<開館時間>
火~日曜日:9~17時
<料金>
一般:$65ペソ 13才以下・学生・教師・高齢者:無料
※メキシコ人は日曜日無料
4. 民芸品市場
まず入口の建物では野菜や果物などが売られているので、メキシコの食材を知ることができます。その先は200mほどの道の両サイドに民芸品のお店が連なっています。さらに道の真ん中にも屋台型のお店がたくさん出ているので、この通りに入ると周りをすてきな品々に囲まれます。
ここでは、色鮮やかな刺繍が施された洋服・クッションカバー・テーブルクロス、銀細工、革製品、おきもの、子供向けの木製のおもちゃ、ブリキ細工、素焼きの食器などに出会えます。
ぜひ、サンミゲルの民芸品を物色して楽しんでください。
自分自身やご家族のために特別なお土産が見つかるでしょうし、たくさんのちょっとしたお土産を探すこともできます。
毎日9:00~19:00まで開催しています。
5. 仮面博物館
<入館>
予約が必要です。
(電話番号:+52 (415) 154 4324)
<料金>
一般:$100ペソ 子供・学生・学校の集団研修:無料
※利益はカサ・デロス・アンヘレス保育園という生活が厳しい母親を支援している施設に寄付されます。
6. エル・ニグロマンテ文化会館
この会館で特に目を引くのが1948年に作られたシケイロスの壁画室(Sala Siqueiros)です。550㎡ある部屋全体が壁からアーチ型の天井まで一つの作品になって、部屋の中を歩いて様々な角度から作品を鑑賞することができます。メキシコ独立戦争の英雄の一人であるイグナシオ・アジェンデをしのんで作られた作品で、次の7つの時期が表現されています。
1. イグナシオ・アジェンデの洗礼式
2. 裕福な幼少期
3. 向こう見ずな青春時代
4. フランス革命論に懸念を感じた学生時代
5. 独立運動への賛同
6. 独立戦争の火花
7. 銃殺と英雄化
しかし、この作品は未完となっています。理由は、第二次世界大戦後に外国人の留学の場として商業目的でこの施設が使用されることに対して画家のダビット・アルファロ・シケイロス(David Alfaro Siqueiros)がボイコットして抗議したためです。「現代メキシコ絵画をこれ以上商業目的で使用されるべきではない。」という言葉を残しています。
他の部屋では期間限定の作品が展示されています。また、平日にはアート教室も開催されています。建物自体も美しく、広い庭でもくつろげるので、休憩しながらゆっくり見学してください。
<開館時間>
月~土曜日:10~18時 日曜日:10~14時
※シケイロスの壁画室のオープン時間は上記よりも限定されている可能性があるのでお気を付けください。
近隣の観光スポット
- トヤン・ワイナリー
- ピラミッド:カニャーダ・デラ・ビルヘン
日本語での「グアナフアトのワインルート」紹介
グアナフアト州のワインルートは、メキシコの中央高地に位置し、美しい風景と豊かな文化を楽しむ旅人にとって魅力的な目的地です。このルートでは、地元の伝統と現代的なワイン醸造技術が見事に融合した数々のワイナリーを訪れることができます。特にグアナフアトの気候と土壌は、豊かな味わいと個性的なアロマを持つ高品質なワインを生み出すために最適です。ツアーに参加すれば、ブドウ畑の見学、収穫体験、そして専門家によるワインのテイスティングセッションを楽しむことができ、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。
さらに、この地域のワインルートは、地元のガストロノミーや文化的魅力と深く結びついています。伝統的なメキシコ料理や地元の特産品を堪能しながら、グアナフアトの歴史や文化を学ぶことができます。多くのワイナリーでは、地元のシェフによる特別なペアリングメニューが用意されており、ワインと料理の素晴らしい調和を味わうことができます。グアナフアトのワインルートは、ワイン愛好家だけでなく、美しい景観と地元の文化に興味を持つ全ての旅行者にとって理想的な旅の目的地です。
1. トヤン・ワイナリー
ワイナリーに到着すると、広いブドウ畑と緑のトンネルに迎えられます。ブドウの木の各列の手前には白い柱があり、その柱の上には天使の像が置かれています。また緑のトンネルの前にはライオンの像があり、一気に中世の時代に飛び込んだような気分になります。
緑のトンネルを通り抜けると、次はワイナリーのテラス兼ガーデンに辿り着きます。草花に囲まれた場所でソファーに座りゆっくりくつろげば、穏やかな気持ちになれるでしょう。
トヤン・ワイナリーは1995年からオーガニック栽培でワインの醸造を行っており、グアナファト州では最も深い地下14mにワインの酒倉を所有しています。
また、地下5mに隠れ洞窟のようなイベントホールがあり、コンサートが開催されることもあります。ワインのテイスティングもここで実施されます。全体的に青い光で統一され、長い木のテーブルにキャンドルが灯され、周りを樽と石造りの壁で囲まれた地下ホールはとても雰囲気があります。
ツアーに参加されれば、より詳しくワインの醸造課程やワイナリーついて知ることができます。3つのタイプのツアーが準備されています。
- ダイヤモンド (Recorrido Diamante)
約1時間半のツアーです。ブドウ畑を巡り、ワイナリーの沿革とオーガニック栽培についての説明があります。さらに地下14mにある酒倉内も見学します。最後は5種類のワイン(赤ワイン3つ、白ワイン1つ、ロゼ1つ)のテイスティングです。ワインにあった選りすぐりのタパス(小皿料理)もセットです。
- ゴールド (Recorrido Oro)
約1時間半のツアーです。ワイナリーの沿革とシンボルについて、また手作りワインの醸造についての説明があります。さらに地下14mにある酒倉内を見学します。最後は4種類のワイン(赤ワイン2つ、白ワイン1つ、ロゼ1つ)のテイスティングです。
- シルバー (Recorrido Plata)
約45分のツアーです。地下14mにある酒倉内を見学し、その後4種類のワインをテイスティングします。
土曜日の午後であれば、テラス兼ガーデンで食事もできます。炭火焼のピザが何種類かあるので、テイスティングで出会ったお気に入りのワインとの食事を楽しんでください。緑のガーデンの中での食事はひときわ美味しく頂けるのではないでしょうか。
<営業日>月~土曜日
※レストランは土曜日の12:00PM~5:30PMのみ
<サンミゲルからの距離と時間>約11㎞、車で25分ほど
2. ピラミッド:カニャーダ・デラ・ビルヘン
カニャーダ・デラ・ビルヘンは、メソアメリカの最北に位置する広大な遺跡地帯です。発掘調査によって紀元後540~1050年のオトミ族の遺跡であることがわかりました。全盛期は紀元後600~900年であったと考えられています。ラハ川流域が見渡せる防衛に適した高地につくられていて、約12ヘクタール(東京ドーム2.5個分)もの規模になります。
この遺跡地帯は人が住む場所ではなく、主に太陽や月や星などの空の状況を観測するための場所でした。その観測結果はラハ川沿いに形成された集落での農業に活用されました。例えば種まきの時期や収穫時期を決める手助けになりました。また近隣の半砂漠地帯に狩猟に行く日を特定するのにも役立ったと言われています。
さらに宗教的な儀式のためにも大切な場所であったため、他の地域と儀式に使用する品物の交換なども実施されていました。
商業的には太平洋と大西洋のちょうど真ん中にあるという立地を活かして、黒曜石やトルコ石、翡翠、貝殻などの仲介を行っていました。
カニャーダ・デラ・ビルヘンは大きく分けると5つの遺跡に分かれています。その内3つの遺跡を見学することができます。
- 遺跡A:13の空の家
最も大きなピラミッドで高さは16mあります。ピラミッドの前には石垣で囲まれて地面が何段か下がった状態のパティオ(広場)があります。雨季にはパティオに水が溜まり、空が映し出されていたため空の家という名前が付きました。
石垣には3か所に台座があり、春分の日や冬至がわかる設計になっていて、暦の機能を果たしていました。3か所の台座からはお供え物と一緒に埋葬された人々が見つかっています。
ピラミッドの頂上には赤い神殿と呼ばれる部屋があります。14×12.8mの神殿はメソアメリカで最も大きなものです。その中には壁画が描かれていて、赤と黒の線は昼と夜、また先住民の神様であるケツァルコアトル(Quetzalcóatl羽がある蛇という意味で、太陽神としての逸話もあり、農耕や文明の神。メソアメリカで最も偉大な神様とされている)とテツカトゥリポカ(Tezcatlipocaアステカの夜の神様)を表します。
- 遺跡B:最も夜が長い家
ピラミッドの最初の何段かが残っている状態です。こちらにもパティオがありますが、ピラミッドの正面ではなく南西にあり、冬至に関わるピラミッドと考えられています。また台座がいくつもあるので、様々な機能を担っていたことが伺えます。
さらに、かまどや水道システムまで備わった部屋やテマスカルというスチームサウナの部屋も発見され、雨の少女と呼ばれる生贄や、骨なども発見されています。
- 遺跡D:風の家
石で丸く囲まれた中央には、神殿跡があります。闘牛場の囲いのような形状で、東と西に扉があり、内側は赤色に塗られていたと考えられています。
- 遺跡巡りについて
ほとんど日陰のない遺跡地帯を約2時間歩くことになるので、日焼け対策と水分補給をしっかりとされることをお勧めします。また歩きやすい靴を準備してください。
環境保護のため、自家用車で直接遺跡地帯まで近づくことはできません。駐車場に車を止め、受付で見学料金を支払らいます。その後専用バスで移動することになります。バスの定員に達してしまうと1時間後のバスを待たなくてはいけないので、気を付けてください。ガイドさんが同行し、人数を管理しながらの見学になります。ガイドさんは各エリアで詳しく説明をしてくれます。
バスの停留所に到着したら、ガイドさんと一緒に遺跡に向かって歩き始めます。最初の休憩ポイントに到着すると壮大なスケールに驚かれると思います。周り一帯に町や住居がないので、ラハ側流域やその先の大地が広々と見渡せます。
遺跡エリアに入ると、最初に割れた状態で発掘された土器などがそのまま地面に露出しているスポットなどを見学できます。とても近い距離で発掘された土器を見ることができます。
その後上記の遺跡A・B・Dを巡ります。遺跡Aでは約16mもあるピラミッドの上まで登っていくことができます。石階段のステップの幅が狭くなっている箇所もあるので、気を付けて登り、ピラミッドの頂上からの景色を楽しんでください。
<営業日時>火~日曜日 10:00AM~5:30PM
※ガイド同行での約2時間半の見学です。最後の回のスタートは4:00PMです。
<料金>一般:$70ペソ 5~12才:$20ペソ
<サンミゲルの旧市街からの距離と時間>約30㎞、車で45分ほど
プエブロ・マヒコとは?
プエブロ・マヒコとは?
プエブロ・マヒコに選ばれるには、次の8つの要素が必要になります。
・文化や伝統、伝説などがある
・歴史的な出来事や建造物にふれられる
・突出した特別な観光要素を備えている
・観光客の緊急事態に対応できる機関がある
・アクセス可能なこと(主要な観光名所から200㎞以内)
・観光客にとって安全で衛生的である
・人口2万人口以上の町で、日常生活を送っている住民がいる
・プエブロ・マヒコの委員会が形成されている
つまり、他の町には存在しない独自の秀でた魅力があり、さらにそこで暮らしている人々と一緒に観光を盛り上げていくことができる町がプエブロ・マヒコです。
いくつものプエブロ・マヒコを訪れれば、メキシコの様々な側面を知り、新たな発見とともに、その魅力にどんどん引き込まれていくことでしょう!
ドローレス・イダルゴ
1810年9月16日の早朝にドローレス教区教会に集まった人々に向けてミゲル・イダルゴ神父が「ドローレスの叫び」と呼ばれる演説を行なったことで、独立戦争が開始されました。そのため、ドローレス・イダルゴは、メキシコ独立運動の発祥地になっています。また、今でも9月16日はメキシコ独立記念日の祝日です。
ドローレスの叫びには、「アメリカ大陸万歳(Viva la América)メキシコ万歳(Viva México)」、さらに「苦痛の叫び(ドローレスはスペイン語で痛みという意味があり、スペインの支配による悪政の苦痛をなくすための叫び)」という内容が含まれています。ドローレスの叫びが演説されたドローレス教区教会(Parroquia de Nuestra Señora de los Dolores)はメイン広場にあり、訪問可能です。
メキシコ人の歴史やアイデンティティにおいてとても重要な地であるドローレス・イダルゴですが、魅力的なことは他にもたくさんあります。今からその一部をご紹介します。
ドローレス・イダルゴの食べ物
アイスクリーム
「ドローレス・イダルゴに行くのであれば、アイスは必須!」と多くのメキシコ人が言うほど、この町のアイスは有名で人気があります。
メイン広場 に何件かアイスクリームの屋台がでているので、アイスを食べながらミゲル・イダルゴ神父像を見学するのもいいですし、木陰にあるベンチに座ってゆっくり堪能することもできます。
この町のアイスで驚かされるのは、その種類の多さです。30以上の味が存在します。
スタンダードな:バニラ、チョコレート、イチゴ、クルミ味
多彩なフルーツのバリエーション:マンゴー、キウイ、レモン、グアナバナ(Guanábana)、マメイ(Mamey)、タマリンド(Tamarindo)、マラクヤ(Maracuyá)、ガランブジョ(Garambullo)味
メキシコ料理の味まで:モレ(Mole)、チチャロン(Chicharrón)、エビのカクテル味
さらにメキシコと言えば:アボカド、テキーラ味
その他:ビール、赤ワイン、チーズ、バラの花びら、ラ・トキシカ(La toxica有毒の意)
などです。
グアナバナはシャーベット状のアイスでさっぱりしています。大きな黒い種まで入っていることがあります。
マメイはオレンジ色のこってりとしたアイスで、果肉の繊維まで入っていることがあります。
アボカドもアイスクリーム状ですが、しつこくなくとても食べやすいです。
ラ・トキシカは有毒という意味で見た目も真っ赤なので、驚くかもしれませんが、シャーベット状の美味しいアイスです。タヒン(Tajín)というチレとレモンと塩をミックスさせた粉もかかっているので、ミッチェラーダが好きな方にはいいかもしれません。また、夏の暑いときに合う味です。
他の町よりも値段が高く感じるかもしれませんが、どれも手作りで自然の味です。
100年以上の歴史があり、アイス職人たちが試行錯誤をして生み出してきた斬新な味の数々をぜひ試して、楽しんでください。
1. アルフレド・ヒメネス博物館
アルフレド・ヒメネスは、マリアッチなどのメキシカン・カントリーミュージックを数多く残したシンガーソングライターです。ドローレス・イダルゴで生まれ、幼少期を過ごしました。彼の写真を見ると、ふっくらとした顔に口髭があり、マリアッチの服装をしてソンブレロを被っていることが多いので、いかにも日本人がステレオタイプで想像するメキシコ人の風貌をしています。
父親が亡くなる12歳まで家族と住んでいた家が博物館になっています。この家でアルフレド・ヒメネスは生まれました。黄色と赤茶色を基調として19世紀に建設された美しい建物で、キッチンなどが残されていますし、約25年間シンガーソングライターとして活躍し授与された各賞が展示されています。また家族写真や奥さんとの出来事も紹介されていますし、愛用していたポンチョやソンブレロも飾られています。展示室は全てで9部屋あり、各部屋に彼の曲名が付けられています。
有名な作品の1つに「グアナファトの道(Camino de Guanajuato)」という曲があります。グアナファト州の人たちが別の州のお祭りやイベントなどに行き、マリアッチに歌ってもらう機会があると、この曲を依頼することがあり、地元愛を感じます。歌詞にグアナファト州内のいくつかの町の名前や山の名前などが出てくるので、日本人のみなさんが聴いても面白いと思います。地名がいくつ出てくるか数えてみてください。
この博物館はメイン広場のすぐ横にありアクセスもいいです。ぜひ訪れてみてください。
<料金>
一般:$40ペソ
子供(7~12歳)・学生・高齢者:$20ペソ(身分証提示のこと)
近隣の観光スポット
ロス・アルカンヘレス・ワイナリー
ドローレス・イダルゴの周辺ではブドウ畑がいくつも広がり、ワインの醸造が行われています。ロス・アルカンヘレスはそんなワイナリーの1つです。ドローレス・イダルゴの旧市街から約23㎞のところに位置し、車ですと30分ほどで行けるのでアクセスもいいです。広々とした敷地でブドウ畑も目の前にあり、とても開放的なので、普段の町の生活とは異なった気分を味わえるでしょう。
このワイナリーは、ワイン醸造学者のウリセス氏によって2016年にオープンしました。ウリセス氏はフランスのモンペリエやドイツのガイゼンハイム、またアメリカのワシントン州でブドウ栽培法を学ばれました。
希望者はツアーに申し込んで醸造所や樽蔵、さらにブドウ畑を巡ることができます。ワインの生産や熟成の過程についての説明から、ワイナリーのシンボルマークについての説明までしてくれます。ブドウ畑では、1つ1つのブドウの特徴や葉の違いまでわかるので興味深いです。もちろん、ワインテイスティングもあります。説明を受けながら1つ1つのワインの味の違いを確認し、おいしいワインを楽しんでください。特にお気に入りのワインが見つかるのではないでしょうか。
ロス・アルカンヘレス・ワイナリーでは様々な品種のブドウが栽培されています。赤ワイン用ですとカベルネ・ソーヴィニョンからカベルネ・フラン、メルロー、マルベック、シラー、ピノ・ノワールまであります。白ワイン用はソーヴィニョン・ブランやシュナン・ブランなどです。これらのブドウは農薬や除草剤を使用せずに自然の力を尊重したオーガニック栽培で育てられています。
また、このワイナリーのワインシリーズは「人魚の歌(Canto de Sirenas)」とネーミングされていて、ボトルのラベルにも人魚の絵が描かれています。
レストランで食事をされるならお勧めしたいのはピザです。ブドウのどの部分もムダにしないという考えのもと、ブドウ粉とマルベックの酵母で生地が作られているため、薄い紫色をしています。またピザによってはカリッと揚げたブドウの葉っぱが添えられています。韓国のりのようでおいしいです。ぜひブドウのすみずみまで味わってください。
レストランは、室内、ガーデンテラス、さらに醸造所の屋上(2階)のテラス席と準備されています。2階のテラスからは辺りを一望できます。
ロス・アルカンヘレス・ワイナリーのもう1つの特徴は、敷地内の一角にまるでコテージのような小さなホテルがあることです。そのため1日中ワインを楽しみながらゆっくりと過ごすことができます。このホテルに滞在する場合は、夜のキャンプファイヤーとメキシカンスタイルの朝食が含まれます。天気が良い日の夜は星空も美しいことでしょう。
ドローレス・イダルゴから少し足をのばして普段とは違ったゆっくりとした時間をグアナファト州のワインと共に過ごしてみてはいかがでしょうか。
<営業日>木~日曜日
<ドローレス・イダルゴからの距離と時間>約23㎞、車で30分ほど
ハルパ・デ・カノバス
今でもその旧大農園やコロニアル様式の教会や建物などが残されています。その歴史的経緯や、古い建物と石畳の道が織り成す景観によって、2012年にプエブロ・マヒコ(魔法のように魅惑的な町)に選ばれています。
また、ハルパ・デ・カノバスに辿り着くまでの道のりもメキシコらしいです。たくさんのアガベ(リュウゼツラン、テキーラの原料となる多肉植物)畑があり、村の入口横にもアガベ畑が広がっています。村の両端には、大きな石のアーチとハルパ・デ・カノバスと色鮮やかに描かれた大きな文字盤があるのですぐに目的地に到着したことがわかります。
ハルパ・デ・カノバスは、近隣にも自然保護区や、ワイナリー、ぶどう畑など魅力的なスポットがたくさんありますので、ご紹介します。
1. カノバス旧家・博物館
旧大農園のメインとなる家で、大農園主であったカノバス(Cánovas)家の歴代の人々が住んでいました。村の名前は、このカノバス家からきています。
現在は共同エリアが博物館として一般に公開されています。カノバス家が手放した後に、この家に住んで管理を始めたご家族の方がガイドさんとして同伴し、見学させてくれます。実際に住まれて管理されているため、カノバス旧家・博物館はとても良い状態を維持しています。
まず、ガイドさんは村の歴史やこの家に住んでいたカノバス家の生い立ち、また今日までどのように継承されてきたかを分かりやすくまとめて説明してくれます。
その話を伺っていると、成功を収めながらもこの大農園主の家系には何か不運が起こりやすかったように感じられます。若くして亡くなる人や事故で亡くなる人がいました。大規模な土地を手放さなくてはならなくなったこともあります。また、子供を授からないことも多く、次世代に引き継がれる度に親族は減っていきました。そして数年前には最後の子孫がこの家と土地を売却し、その後亡くなりました。
次に、1つ1つの部屋に案内して、家具などを紹介してくれます。この家で最も有名な場所は、青と黄色という珍しい色合いでデザインされたキッチンです。このキッチンの驚くべきところは、年代物のコンロや冷蔵庫、オーブンなどがまだ使える状態にあることです。特に冷蔵後については2台あるのですが、メキシコで初めて使われるようになった年代のもので、実際に機能している状態を見られるのは珍しい体験です。
他の部屋の家具類も興味深く、特注の木製の家具などがあります。大農園主のイニシャルが入った食器類なども展示されています。特に必見なのは、19世紀後半から20世紀初めにかけてメキシコの大統領を務められたポルフィリオ・ディアス(Porfirio Díaz)氏から特別に大農園主カノバス家に贈与された美しいピアノと化粧台です。
また、この旧家・博物館はブティックホテルとしても機能していて、寝室に宿泊することができます。町の喧騒から離れて、アンティークな家具に囲まれ、そしてアンティークなベッドで一晩過ごされるのも良いかと思います。平穏な場所で、過去にタイムスリップしたような気持になってリフレッシュしてください。
現在、この旧家・博物館の裏側の土地の修復作業が行われています。その場所には以前、お手伝いさんの部屋や庭、劇場、小さな闘牛場のようなスペースがありました。実は、メキシコ革命の際に壊されてしまい、革命軍によって価値のあった多くの品々が略奪されてしまったという悲しい歴史があります。
カノバス旧家・博物館から外に出ると、目の前にはメイン広場があり、中央には見晴台があります。その横にはこの村に最初に建てられた教会があります。残念ながら現在は使われておらず、扉が開いていることは滅多にありません。カノバス旧家・博物館の右手には穀物倉が5件連なり、さらに製粉所があります。左手にはミセリコルディア教会があります。歴代の大農園主の家族の何人かがこちらに眠っています。
また、広場の周りにはいくつかお店が出ていて、お土産や昔ながらのお菓子を購入できます。またクルミをベースにしたこの村の伝統的な甘未菓子も食べられます。
ハルバ・デ・カノバスに来られたら、この町のメインの観光スポットともいえる、カノバス旧家・博物館を訪れてみてください。
注:この旧家・博物館は、インターネットサイトや地図上でカサ・デ・ハルパ(Casa de Jalpa)やカサ・グランデ(Casa Grande)、アシエンダ・デ・ハルパ(Hacienda de Jalpa)など様々な呼ばれ方をされていますが、すべて本旧家・博物館を指しています。
2. ルイス・カブレラ博物館
ルイス・カブレラ博物館はカノバス旧家・博物館のすぐ隣の通りにあり、少し歩くとたどり着けます。この村のコラムニストであったルイス・カブレラ氏が村民に呼びかけて、家に保管されている昔の品物や道具を持ち寄ってもらうことで、この博物館はつくられました。
博物館の内部は小さくいくつかのセクションに別れています。スペイン植民地時代前の石器や石の彫刻から、近現代の機器などで今ではほとんど使われなくなったジュークボックスやタイプライター、ラジオ、レコードプレーヤー、ビデオテープレコーダー、LPディスクなどまで展示されています。さらに、昔日常で使用されていた電化製品や家族写真、家系図なども飾られています。その中には旧大農園主カノバス一家の写真も含まれていますし、その当時の聖職者や政界の重要人物まで写真に収められています。また、この村でつくられ、この村だけで使用されていた貨幣まであり興味深いです。
3. ミセリコルディア教会
20世紀初めに建設が開始されたネオゴティック様式の教会です。イギリス人建築家で、その半生をメキシコで過ごし、特にグアナファト州に多くの作品を残した、ルイス・ロング(Louis Long)氏によって手掛けられました。しかしメキシコ革命の勃発により建設は一時中断されたため、すべてが完成したのは20世紀半ばになります。
この教会の外観は赤レンガで造られていて、塔の先端はメタル製になっているのが特徴的です。さらに教会の手前には大きなヤシの木も3本そびえ立っているので、他の町の教会とは異なる雰囲気を感じられると思います。
内装も美しいです。壁や天井全面に花柄やひし形などのデザインが施されています。とくに天井はその模様がまるで彫られているかのように感じられます。
教会に入って左側の小部屋は旧大農園主カノバス一家の一部の親族が眠る礼拝堂になっています。
4. 新旧の2つのダム
ハルバ・デ・カノバスが大農園として繁栄したのはダムが整備され、インフラが整えられたおかげです。最初のダムは18世紀に造られました。その当時としては大掛かりな建設でした。新しいダム(Santa Efigenia)は、最初のダムに連なるようにして19世紀末にミセリコルディア教会と同じくルイス・ロングによって手掛けられました。水の放水やせき止めを調整するダムの壁の部分がアーチ状になっていて、まるで水道橋のようです。今でもこのダムからハルバ・デ・カノバスに水が供給されています。
新しいダムの天端は、車の立ち入りは禁止されていますが、歩いて渡ることができます。ここからの景色はすばらしく、広大な大地と湿地地帯のような景色が広がっているので、ダムの見学というよりも自然ツーリズムをしている感覚になるでしょう。特に夕暮れ前がおすすめです。そして天端を渡り終えると、アーチ部を見ることができます。
また、ハルパ・デ・カノバスの中心からダムに向かう途中には、こちらもルイス・ロングが建設した旧製粉所(Molino Viejo)と、大きくて立派なクルミの林(La Nogalera)があり、その横を通り抜けていくので、行き来の景観も楽しんでください。
5. ラス・ゴロンドリーナス・デ・ハルパ レストラン
手作りの伝統的なメキシコ料理を緑の自然の中でゆっくり楽しめるレストランです。レストランの名前になっているゴロンドリーナスはスペイン語でツバメを意味します。ツバメに出会える時期は限られているかもしれませんが、スズメなど小さな鳥に出会えるでしょう。
ハルパ・デ・カノバスではクルミが栽培されているため、このレストランではいくつかの料理にクルミが使用されています。例えばワカモレに細かく刻んだクルミが入っています。デザートにはクルミパイがあります。
特にレストランがお勧めしている一品が「クルミのモレ(Mole de Nuez)」です。モレとは唐辛子やチョコレートをメインにいくつもの材料を混ぜて煮込んだソースのことで、トマトの炊き込みご飯や鶏肉が添えられていることが一般的です。このモレソースにクルミが加えられているのがハルバ・デ・カノバスの特徴で、グアナファト州を代表する料理として、スペインで開催された国際ツーリズム・フェスティバルで披露されました。
またこのレストランは食器にもこだわりがあります。白い陶器に青色の花がデザインされている食器で統一されていて、お皿の裏にはレストランの名前が刻まれています。
朝食から提供しているので、観光前にまず自然を満喫しながらゆっくり朝食をとられるのもいいでしょう。朝食メニューのチラキーレス(Chilaquiles)やエンモラーダス(Enmoladas)にもクルミ入りモレが使われています。もちろん、ある程度観光された後でゆっくりランチをとられるのもいいでしょう。
近隣の観光スポット(Excursiones)
1. ラス・ムサス
ラス・ムサスは、コロラド川に沿って樹齢150年以上とも言われるメキシコ原産の大きなアウアウエテの木(先住民言語ナワトルで“水の古木”の意味)がずらっとそびえ立つ自然いっぱいの場所です。2002年に自然保護区に指定され、多くの鳥類や動物、植物の生息地になっています。約3,174ヘクタールの森で、102種類の鳥類や12種類の爬虫類、26種類の哺乳類、218種類の植物が観測されています。その中にはキツネやコヨーテ、アライグマ、カメ、コウモリなどが含まれます。また、耳をすませばキツツキが木を突く音が聞こえてくるかもしれません。
ラス・ムサスとはスペイン語で「ミューズ(女神)たち」という意味で、自然とはかけ離れた名前が付けられています。なぜこのような名前が付けられたかというと、ある逸話があります。
スペイン植民地時代に、あるお金持ちの大農園主がいました。その大農園主の2人の娘は毎日のようにコロラド川のこの場所で水浴びをしていました。彼女たちはその美貌と若さから近隣の人たちからミューズと呼ばれていました。しかし残念なことに、ある日数人の男たちが彼女たちを誘拐し、殺害するというとても悲しい事件が起きてしまいました。そのため彼女たちのことを偲んでこの森はラス・ムサスと呼ばれるようになりました。
このような悲しい逸話はありますが、ラス・ムサスの水の流れる音と木々の木陰はまさに憩いの場所ですので、ぜひ自然を堪能してください。まず木の幹などに腰かけて自然の音と、木漏れ日、またマイナスイオンを体感してください。そのあとはコロラド川に沿ってゆっくりと歩いてハイキングを楽しまれてはいかがでしょうか。(水の流れが激しい場所や水深が深い場所もあるので、もし足を水に入れる場合は気を付けてください。)
また写真撮影にも最適です。各アウアウエテの木の根の部分が大きくうねって四方八方に広がり交錯しているので、あたかも森の奥深くに入り込んだかのような写真を撮ることができます。実際に地元の方々は、結婚の記念撮影やキンセアニェーラという女の子たちの15才のお祝い写真などもラス・ムサスで撮影するそうです。
簡単なテーブルやベンチが設けられたスペースもあるので、お弁当を持って行ってピクニックを楽しむこともできます。炭火焼き用の台もあるのでバーベキューセットを持参されれば、バーベキューも可能です。
<ハルバ・デ・カノバスからの距離と時間>約34㎞、車で40分ほど
サルバティエラ
サルバティエラの食べ物と観光スポットをご紹介します。
<サルバティエラの食べ物
ラルガス
ラルガスとは通常よりも少し長く厚みのあるトウモロコシのトルティージャのことで、この町の至る所で出会えます。豚肉やジャガイモ、ひよこ豆、ノパルサボテンなどの煮込み料理から好きな具材を選んで挟み、さらにはチーズを入れてケサディージャにして食べることができます。
昔、大農園で働いていた男性たちのためにすぐにお腹にたまるお昼ご飯を持たせようと、奥さんたちが作るようになったと言われています。
最近では「ラルガス&ケサディージャ・フェスティバル」が6月頃に開催されるまでになりました。
パスタ味のアイスクリーム
名前を聞いて驚かれるかもしれませんが、パスタはバニラをベースとしたアイスで、シナモンやアーモンドなどの味がします。この町のオリジナルとも言えるアイスですので、試してみてください。
1. メインガーデン広場
サルバティエラのメインガーデン広場は、歴史の長い町にふさわしく、きれいで、趣があります。大きな木々で囲まれた広場は生垣と石畳みできれいに整備され、中央にはキオスク(見晴らし台)、その少し先には小さな噴水があります。また広場の周りは2つの塔がある教会や石造りの建物で囲まれています。
他の町のメイン広場と同じように、サルバティエラのメイン広場の隅にもアイスクリームの出店をいくつか見つけることができます。特におすすめしたいのが、パスタ(Pasta)という味のアイスクリームで、バニラとシナモンの味は広場の雰囲気にぴったりです。
静かで落ち着いた広場ですので、ベンチに座ってアイスを食べ、おしゃべりをしたり本を読んだりしてゆっくり過ごすのもいいかと思います。
2. 教区教会
メインガーデン広場の目の前にある教会で、1744年から1808年にかけて建設されました。主にネオクラシック様式ですが、一部にはバロック様式やネオゴティック様式も垣間見られます。入口の木製の扉の上部にはこの町の紋章が彫刻されていて美しいです。中に入ると全体的に薄いピンクと水色と金で統一されていて、祭壇横の2つの大きな絵画や丸い天窓などにも目を惹きつけられます。昔から大切にされてきたことを感じさせる雰囲気のある教会です。
この教会は町の守護聖人である聖母ラ・ルスを崇拝しています。そして祭壇に飾られている聖母像は、ミチョアカン州のパツクアロという町の職人によって16世紀にトウモロコシの茎の部分をペースト状にして作られました。1808年にこの教会に飾られるまでは修道士によって何度か場所を移されていたので、巡礼聖母と呼ばれています。
3. 革製品のお店
ユリリアと繋がる道沿いの、サルバティエラの町の入り口付近に革製品のお店がずらりと並んでいます。
ここでは男性用と女性用のベルトや、ブーツ、サンダル、またハンドバッグなどが売られています。ベルトはカウボーイ用の柄が入ったものが数多く売られていますし、女性用では花柄などが入ったかわいいベルトが見つかります。皮サンダルはメキシコらしく色鮮やかで、編み込みタイプや皮にデザインが描かれたものなど、いくつものバリエーションがあります。
また、帽子やハンモック、植木鉢など、革製品以外の手工芸品も並べられています。
とても品数が多いので、眺めているだけでもあっという間に時間が過ぎてしまうかもしれません。きっとお気に入りも見つかるのではないでしょうか。
道を挟んだ向かいにはラルガス(Largas)のお店もあるので、お腹も満足させてショッピングができます。
ユリリア
ユリリアという町の名前は、ユリリアプンダロ(Yuririhapúndaro)という先住民族・プレペチャの言葉から来ています。ユリリアプンダロとは、ラ・ホジャ(La Joya)というクレーターにある湖を指すのですが、その意味は「血の湖」です。
なぜそのような恐ろしい名前がラ・ホジャに付けられたかというと、数十年前まで火山や地震の影響によって大量の硫黄が湖に流れ出ることがあり、その時に太陽の光の反射で水の色が突然赤く変わることがあったためです。先住民族はこのクレーター湖の麓に住居を築いていたので、重要な場所でした。
その後植民地時代に入り、1540年に聖アウグスティヌス会の修道士ペドロ・デ・オルモスによってユリリアの町が設立されました。グアナファト州で最も古い町の1つです。
1550年には同じ修道会のディエゴ・デ・チャベス修道士がラテンアメリカで1番古い油圧システムの人工湖を造りました。元々この人工湖の場所には大きな沼地があり、マラリアやペストなどの疫病で住民が苦しんでいました。人工湖が完成し水が管理されるようになったことで、疫病が治まり、さらにレルマ川から流れる水で浸水することもなくなりました。それどころか水を活かして農業ができるようになりました。
このようにしてユリリアの町のシンボルともいえる大きな人工湖が誕生しました。この湖の水はグアナファト州の近隣の町やミチョアカン州、ハリスコ州の一部の町にまで供給されています。
このような特徴的な湖との歴史があり、さらに今でも植民地時代の宗教的な建物が多く残されているユリリアは、2012年にプエブロ・マヒコ(魔法のように魅惑的な町)に選ばれました。
<ユリリアの食べ物 (Gastronomía de Yuriria)>
ミチスープ
ミチスープとは、ユリリアの湖で獲れるアメリカナマズが丸ごと一匹入った魚と野菜たっぷりのスープです。魚の白身はふっくらとしていて柔らかく、野菜は大きめに切られたニンジンやとうもろこし、チャヨテ(ウリの一種)、トマト、玉ねぎなどが入っています。魚と野菜の出汁がしっかりと出ていて、優しい味です。スープの量は多いので、2~3人でシェアしてもちょうどよいかと思います。
先住民族のナワトル語に「ミチン(Michin)」という言葉があり、「魚」を意味します。ミチスープというネーミングはそこから来ているのではないかと言われています。一方で、いくつものメキシコの先住民の言葉では、ミチに似た発音が「猫」を意味します。スペイン語で猫はガト(gato)と発音しますが、今でもメキシコ人は愛情を込めて猫にミチと呼びかけることがあります。アメリカナマズの別名は「キャット・フィッシュ」ですので、そんな言葉のつながりも面白く、このスープにぴったりな名前です。
旧市街にはいくつかミチスープを提供しているお店がありますが、その1つがラス・フアニータス(Las Juanitas)というレストランです。アメリカナマズがスープ皿に入ってスプーンを持っているマークが目印です。
また旧市街を歩いていると、水槽を積んだ軽トラックを道端でいくつか見かけるでしょう。アメリカンナマズをさばいているところにばったり出くわすかもしれません。
ガスパッチョ
ガスパッチョとは刻んだフルーツがたくさん詰め込まれたフルーツカップで、広場の屋台などで売られています。小さなキュービック状に切られたマンゴーやパイナップル、スイカ、ヒカマ*などがふんだんに詰め込まれていて、赤・オレンジ・黄色・白と色鮮やかです。上にはチーズが振りかけられ、お好みですっぱいチャモイ**やタヒン***あるいは辛いチリソースなどをかけてくれます。
軽い朝食として観光前に食べるのもいいですし、観光して歩き回って喉が渇いたときに食べるのも美味しいでしょう。フルーツの甘みとソースの酸っぱさ、辛さの調和を楽しんでください。
ガスパッチョは、グアナファト州の隣のミチョアカン州でよく食べられています。ユリリアとミチョアカン州の州都のモレリア市との距離が64㎞程と比較的近いために出会える味です。ぜひ試してみてください。
*ヒカマ(Jícama):マメ科の植物の根っこの部分です。カブのように丸く、白い果肉はみずみずしいです。
**チャモイ(Chamoy):乾燥させたフルーツにチレと塩、砂糖、水などを混ぜて作られた甘酸っぱいソースで、日本の梅干しから来ていると言われています。
***タヒン(Tajín):チレとレモンと塩をミックスさせた赤い粉です。
1. サン・パブロ アウグスティヌス旧修道院博物館
チチメカ族の領土になっていたこの地域にキリスト教を布教するため、聖アウグスティヌス会によって1550年~1559年にかけて建設されました。まるでお城のように美しい建物で、プラテレスコ様式(細かい浮彫りの壁面が特徴的な16世紀のスペイン・ルネサンス様式)が採用されていて、16世紀の貴重な建造物として国有財産に指定されています。また、植民地時代に先住民が気持ちを表現するために描いた絵も残されているのが特徴的です。
この旧修道院は約300年間聖アウグスティヌス会の学校としても機能し、宗教や神学だけでなく、民法や哲学についても教育されていました。さらに、ヌエバ・エスパーニャと呼ばれるスペイン植民地時代において最も完璧な状態の図書館を所持していました。16世紀~19世紀の本が約3000冊保管されています。
1926年からは博物館として機能しています。4階建てで、1階は「この建物の歴史について」、2階は「宗教画」、3階は「植民地時代の絵画」、4階は「期間限定の企画展」になっています。
また、建物の外には円盤状の石が置かれています。この石は先住民が神様に捧げる生贄の儀式で使用したもので、先住民が住んでいたクレーター湖ラ・ホジャ(La Joya)の辺りから運ばれてきました。
<開館日時>
火~日曜日 10:00AM~5:45PM
<料金>
一般:$70ペソ 学生・13歳以下・高齢者:無料
2. アウエウエテスの木
旧修道院博物館の奥には芝生が一面に広がり木がたくさん植えられているきれいな広場があります。その中で特に目を惹くのが、高くまっすぐにそびえ立つ2本の大きな枯れ木です。「アウエウエテ(Ahuehuete)」というヒノキ科の植物です。この2本の木には悲しい物語があります。
その昔、昼間にユリリアの男性たちが働きに出ているときに、突然先住民族のチチメカ人が現れ、奴隷にするために女性や子供たちを連れ去ってしまいました。町に戻ってきた男性たちは途方にくれましたが、その中でアントン・トロンボン氏だけはめげませんでした。町の男性たちを集めて、さらにスペイン人の警備隊の協力も得て、チチメカ人たちが去っていった方角に向かい、捜索を始めました。その甲斐あって、なんとか女性や子供たちを救い出すことができました。しかし残念ながらアントン・トロンボン氏の子供だけは発見されませんでした。
アントン・トロンボン氏とその夫人が亡くなった時に、町の人々はその勇気ある行動を称えてアウエウエテの木を3本植えました。アントン・トロンボン氏とその妻、また行方不明になった息子、3人への敬意が込められています。
3本植えられたアウエウエテの木ですが、長い年月の経過と寄生虫の被害などにより2本の木は枯れてしまい、残りの1本はすでに消失してしまいました。
そんな悲しい伝説がありますが、今では写真スポットになっています。特に大きなアウエウエテの木の幹の窪んだ部分にタイルが敷かれていて、ベンチのようになっており、木に座って一緒に写真を撮ることができます。枯れてしまったとはいえまっすぐに大きく伸びた立派な木と、周りの緑、そして奥の旧修道院の建物とのコントラストが素晴らしいです。タイミングが良ければ木の真上に太陽が昇っている写真が撮影できるかもしれません。
3. 市場
ユリリアのセントロにある市場では様々な伝統手工芸品が売られています。例えば、乾燥させたトゥレという植物を編んでつくったかごや敷物などです。トウモロコシの葉でつくられた製品や、湖で実際に使用されていたカヌーの木からつくったカヌーのミニチュアなどもあります。
また、トルティージャの生地を丸く広げるプレス器や、トルティージャを焼くために使用するコマル(Comal)という鉄板、サルサをつくるのに使用する石臼モルカヘテ(Molcajete)など、メキシコならではの調理器具も多く店頭にならんでいます。
市場ではタコスやケサディージャの屋台も出ているので、朝食やお昼を食べながらゆっくり手工芸品を物色できます。
コモンフォート
元々この町は、先住民のプレペチャ語で「崩壊した場所」という意味の「チャマクエロ(Chamacuero)」と呼ばれていました。理由は、スペイン人が1525年頃にこの町にやってきた時には誰も住んでおらず廃墟と化していたためです。そのため、(旧町名はプレペチャ語で付けられましたが、)植民地時代前にどの先住民族がこの町に住んでいたのかはわかっていません。
スペイン人たちはグアナファト州の他の地域に住んでいたチチメカ族と対立し、征服後にこの廃墟となっていた町を人が住める場所に改めました。キリスト教を布教するために宣教師たちが住み始め、さらにオトミ族が農業や家畜業を始めたことで人口が増えていきました。
その後、メキシコ独立後のレフォルマ戦争と呼ばれる自由主義派と保守派の内乱時期の1863年に、メキシコの大統領を務めた経歴のあるイグナシオ・コモンフォート(Ignacio Comonfort)氏がこの町で盗賊に襲われ殺害されるという事件が起きました。そのことがきっかけで、チャマクエロは山賊やさらに保守派と自由主義派に属するグループからの襲撃に悩まされ、大変な時期を過ごしました。
このような経緯からイグナシオ・コモンフォート氏に敬意を表して1874年に町名を「チャマクエロ・デ・コモンフォート」に改名し、さらに1933年には「コモンフォート」だけに再度改名しました。
現在のコモンフォートは、黄金の飾り壁のあるサンフランシスコ教会、また手工芸品では火山岩でつくられたモルカヘテや、祭儀用のトルティージャなどが有名です。この傑出した内容から2018年にプエブロ・マヒコ(魔法のように魅惑的な町)に選ばれました。
他にもゴルディータスやフルータ・デ・オルノ(パン)などのメキシコの典型的な食べ物もあるので、食事も楽しみながら旧市街のメイン広場を散策するのも良いかと思います。
また今でも町の看板などに「チャマクエロ」という言葉が残っているので、探してみるのも面白いでしょう。
1. サンフランシスコ教会
サンフランシスコ教会は16世紀後半に建設が始まり、17世紀半ばに完成した古く伝統のある教会です。そしてこの教会には2つ傑出したものがあります。
1つは、祭壇近くの側面にある4つのバロック様式の飾り壁です。メスキーテという木材が使用され、その上を金箔で覆っている黄金の飾り壁です。細かなデザインと絵画や聖人像との組み合わせは圧巻です。
もう1つは、教会の中腹にあるミゲル・カブレラ(Miguel Cabrera)作の「霊魂の絵(pintura de las ánimas)」という大きな油絵です。こちらも教会に入ると初めに目に入り、際立っています。
絵画や彫刻の専門家や愛好家ではなくても、啓蒙時代と呼ばれる17世紀後半から18世紀にかけて作られたこれらの芸術作品を鑑賞するのは感動的なことでしょう。
特に結婚式などのセレモニーやミサなどをしていない時間帯ですと、飾り壁が見える最前列まで行き、ゆっくりと鑑賞することができます。
<コモンフォートの手工芸品
モルカヘテ
モルカヘテとは、火山岩(特に玄武岩)で作られた灰色のすり鉢のようなもので、サルサソースやワカモレを料理するときに使用される、メキシコの伝統的な料理道具です。先住民のナワトル語の「mollicaxtli」から来ていると言われ、molliはサルサ、Caxtliは箱や器を意味します。
コモンフォートではグアナファト州の火山岩を用いてたくさんのモルカヘテが作られています。特徴的なのは、白色の斑点が多く見受けられることです。これは火山岩の塩類などのミネラル成分です。このような成分を含んだモルカヘテで料理することでサルサやワカモレがより一層美味しくなると言われています。
購入スポットは、サンフランシスコ教会(Parroquia de San Francisco de Asís)前の広場です。大小のモルカヘテがずらりと並べられて売られています。側面に模様がデザインされているものから蓋つきのものまで揃っています。
また、トルティージャを作る時などに使用されるメタテ(Metate)というとうもろこしの粒やカカオ、その他穀物をすり潰すための少し傾斜のある石の平台も一緒に売られています。お土産にモルカヘテとセットで購入されるのも良いかもしれません。
さらに、同じ広場に巨大なモルカヘテがモニュメントとして置かれています。ラス・コロラーダス(Las Coloradas)というコモンフォートから50㎞程離れたところにある山で採掘された、約2トンもある1つの巨大な岩を削って職人によって手作業で造られた作品です。なんと、幅1m45cm、高さ1m10cmもあります。ぜひ横に並んで記念撮影を楽しんでください。
<コモンフォートの食べ物
フルータ・デ・オルノ
フルータ・デ・オルノとは直訳するとオーブンのフルーツという意味ですが、伝統的に窯で薪を使って焼かれた、表面がカリカリなおいしいパンのことです。果物や野菜が土や木からの贈り物であるように、おいしいパンは窯からの贈り物であるという昔の人々の考えから、このように呼ばれるようになりました。特に中にフルーツジャムが入ったパンは窯からフルーティーな香りが漂ってくるので、このネーミングにぴったりです。
コモンフォートの旧市街の広場には、パンの出店がありフルータ・デ・オルノを購入できます。
特に珍しいのが、アトーレ(Atole)というとうもろこしを原料とした甘い穀物飲料をペースト状にしたものが入った筒状のパンです。アトーレは通常は甘くて温かいとろりとした飲料ですので、ペースト状になっていることはなかなかありません。
それ以外にもフルーツジャム入りのパンや、塩味のあるパン、サクサクカリカリの表面がいくつにも重ねられたパンなど、いくつもの種類のパンが売られています。
チーズ・肉入りゴルディータス
ゴルディータスとは、トルティージャの生地を少し厚めに準備し、コマル(Comal)という鉄板で焼いたり揚げたりして、その後トルティージャの縁をナイフなどで切って口をつくり、中に煮込み料理を挟んで食べる料理です。
コモンフォートのゴルディータスが特徴的なのは、トルティージャの生地にチーズが混ざっているものや、カルニータスの肉が混ざっているものがあることです。ケソ(Queso)がチーズで、ミガッハス(Migajas)がカルニータスの肉の余り物という意味です。
出来立てのチーズ入りあるいはカルニータスの肉入りトルティージャに、ノパルサボテンやチチャロン(豚の皮)、マッシュルーム、じゃがいも、豆などの煮込み料理から好きな品を2つ選んで挟んで食べることができます。
サンフランシスコ教会の広場の通りを渡ったところに、まず一軒ゴルディータスのお店が見つかります。
近隣の観光スポット
1. 織物の村ソリア
ソリアは小さな村ですが、村の中心に100年以上も続く歴史ある織物工場があります。その周りのお店では、カシミヤや羊毛の上質なスーツやシャツなどを低価格で購入することができます。サイズや色のバリエーションも豊富ですし、チェック柄のスーツや肘あてが付いた上着も売られています。
またソリア製の織物商品のラベルには、まるで中世の紋章のようなロゴが付いているので、さらに気分を高めてくれます。
村の外観も美しいです。メイン通りは大きな木々が連なった並木道で、建物の壁の色は白と赤で統一されていて、落ち着きがあります。その並木道を進んでいくと、小さな広場にでます。普段は真ん中に噴水がありますが、クリスマスシーズンは噴水の場所にツリーが飾られます。その広場には美しい門があり、そこが織物工場の古い入口になります。
この織物工場には、グアナファトや近隣の州の大学生もカリキュラムの一環として見学に訪れています。
また、ソリアには小さなレストランもありますし、コモンフォートと同じようにフルータ・デ・オルノと呼ばれる美味しいパンも売られていますので、地元の味を楽しみながら、静かな雰囲気の中で一時を過ごされるのもいいかと思います。そして、ぜひお気に入りのスーツを見つけてみてください。
<コモンフォートからの距離と時間>約7㎞、車で15分ほど
ミネラル・デ・ポソス
この町は、スペイン植民地時代から20世紀初めにかけて、鉱山の町として栄えました。50以上の企業が鉱山採掘のために進出し、360もの採掘箇所がありました。そのため鉄道も2つ通され、電気や電報のシステムも整備されました。さらに、国の教育モデルとなる学校までもがこの町に準備されました。
しかし、20世紀初めには金属の国際価値が下がり始め、さらに1938年に地下帯水層が崩壊し、鉱山の採掘場所や地下トンネルなどが浸水したことで事態は一変します。採掘できなくなった鉱夫たちは仕事を求めて他の町へと移っていかなくてはなりませんでした。多い時には5万人ほどいた人口が、その時に200人まで減少しました。これがゴーストタウンと呼ばれるようになった所以です。
そんな歴史があるからこそ、ミネラル・デ・ポソスはプエブロ・マヒコに選ばれ、今では重要な観光地になっています。数百年前の金銀を含む鉱山の最盛期に使用された金属を溶かす炉や、その当時の豊かさを象徴する大農園の屋敷などが遺跡としていくつも残されているためです。
また今では鉱夫の子孫たちがこの町に戻ってきて当時の屋敷を買い戻したり、別の土地の人々もこの町に住み始めたりするようになり、活気が出てきました。
ぜひミネラル・デ・ポソスを訪れて、ゴーストタウンから観光地へと変化を成し遂げた町の雰囲気を体感してください。路地や広場も美しい町です。
- フアレス広場(Jardín Juárez)
町の中心にあるのがフアレス広場です。小さな広場ですが、中央には広場全体が見渡せる丸い見晴台があります。大きなサボテンや緑も多い美しい広場です。
広場の端にある屋台では、エスキーテ(Esquite)という茹でたトウモロコシの粒にマヨネーズやチーズ、ライム、チリパウダーをかけたメキシコのローカルフードが売られています。
また7月~10月にかけて、コロンチェ(Colonche)というウチワサボテンの赤い果実を発酵させたリキュールが売られていることもあります。コロンチェはメキシコでもグアナファト州などの中央部で飲まれているリキュールですが、年々作られる機会や消費量が少なくなってきています。
広場のベンチに座って緑を観賞しながら、エスキーテとコロンチェを味わってみるのはいかがでしょうか。
- バー・エミリアーノス (Bar Emilianos (Cantina))
フアレス広場の横にとても渋い西部劇を彷彿とさせるような酒場があります。木製の扉から少し薄暗い店内に入っていくと、壁一面にびっしりと飾られた昔の写真やジュークボックス、動物のはく製、また木の棚にずらりと並べられたお酒のボトルとバーカウンターが目に飛び込んできて、一気に西部劇の時代にタイムスリップしたような気分になります。
お酒好きの方は、バーカウンターでグアナファト州のテキーラやメスカルを味わってみてはいかがでしょうか。
実はグアナファト州のこの地域のメスカルの歴史は他の州と比べて長く、18世紀の植民地時代にスペインからメスカルの蒸留を初めて許されたマルケス・デ・ベリオスという大農園(Hacienda del Marques de Berrios)があります。また、ミネラル・デ・ポソスを含めたサンルイス・デラ・パス(San Luis de la Paz)やサンフェリペ(San Felipe)という2つの町はメスカルの原産地呼称に登録されており、2世紀以上もの間メスカルを作り続けている蒸留所がいくつも存在します。
そんな地元の歴史あるお酒を飲むのに、この酒場の雰囲気は最適です。
メスカルを注文すると、タヒン(Tajín:チレとレモンと塩をミックスさせた赤い粉)が振りかけられたオレンジが一緒に提供されます。アルコール度数の高いメスカルとオレンジの相性はばっちりです。交互に飲んで食べて楽しんでください。
店内にはミネラル・デ・ポソスの歴史がわかる白黒写真だけでなく、ボクサーの写真も飾られています。その中に日本人ボクサーの写真が1枚あります。元WBC世界フライ級王者の大熊正二選手です。なぜ大熊選手の写真が飾られているのか不思議に思われるかもしれませんが、WBC世界防衛戦でマエストロの異名を持つメキシコ人ボクサー、ミゲル・カント選手やアントニオ・アベラル選手と試合をされたからかもしれません。
日本から遠く離れたメキシコのグアナファト州の小さな町の小さな酒場で思いがけず日本人ボクサーの写真に出会うことができます。
ジュークボックスの上には、ドローレス・イダルゴ生まれの歌手アルフレド・ヒメネスの大きなポスターが貼られていて、さらにこの酒場の雰囲気を引き立てています。ジュークボックスは今でも使われているので、昔懐かしいお気に入りの洋楽を探してお酒を片手に音楽に耳を傾けてみるのもいいでしょう。
のんびりと過ごすことができる、素敵な酒場です。
日本語での「グアナフアトのワインルート」紹介
グアナフアト州のワインルートは、メキシコの中央高地に位置し、美しい風景と豊かな文化を楽しむ旅人にとって魅力的な目的地です。このルートでは、地元の伝統と現代的なワイン醸造技術が見事に融合した数々のワイナリーを訪れることができます。特にグアナフアトの気候と土壌は、豊かな味わいと個性的なアロマを持つ高品質なワインを生み出すために最適です。ツアーに参加すれば、ブドウ畑の見学、収穫体験、そして専門家によるワインのテイスティングセッションを楽しむことができ、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。
さらに、この地域のワインルートは、地元のガストロノミーや文化的魅力と深く結びついています。伝統的なメキシコ料理や地元の特産品を堪能しながら、グアナフアトの歴史や文化を学ぶことができます。多くのワイナリーでは、地元のシェフによる特別なペアリングメニューが用意されており、ワインと料理の素晴らしい調和を味わうことができます。グアナフアトのワインルートは、ワイン愛好家だけでなく、美しい景観と地元の文化に興味を持つ全ての旅行者にとって理想的な旅の目的地です。
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